陳満咲杜

プロフィール

株式会社 陳アソシエイツ 代表取締役

1992年に来日し、生活費と学費をアルバイトでまかないながら、大学時代より株投資を開始。中国情報専門紙の株式担当記者を経て黎明期のFX業界へ。香港や米国の金融機関で研修を重ね、トレーダーとしての経験を積む。GCAエフエックスバンク マネージングディレクター、イーストヒルジャパン チーフアナリストを経て独立。日本、中国、台湾地域をカバーした執筆、講演、情報サービス、投資家教育などの活動に取り組んでいる。日本テクニカルアナリスト協会検定会員。

HP http://www.chinmasato.com/
ブログ 陳満咲杜の為替の真実
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為替コラム             【サンプル】

<ビジネスとしてのFX取引>

相場の罠はいろいろある。初心者にとって、もっとも陥れやすい罠は他ならぬ、取引をビジネスとして扱っていないことではないかと思う。

現実では、起業するにはいろんなハードルがあり、乗り越えていくには容易ではなく、またビジネスを軌道に乗せていくには多大な時間と精力が必要だ。それに対して、FX取引などはわずかの元本をもってクリックするだけで行われるから、安易に参入できる。

容易に参入できたゆえに、現実離れのリターンを最初から追及しがちだ。現実離れのリターンを追及する一心で余裕をなくなる、こういった構造はもっとも一般的である。

しかし、取引自体もビジネスの一種と考えれば、余裕を持たずにして成功をありえないことがわかる。

仮にFX取引にも銀行の融資が降りる場合、事業計画書に多くの初心者らは年間倍増、あるいはそれ以上の利益予想を書き込むだろう。当然のように、この類の融資申請は間違いなく却下される。実績ない者がこのようなリターンを叩き出すのは不可能ではないにしても、極めて稀であることを銀行側はよく知っているから、リスクコントロールに長けた銀行マンほどこういった現実離れの計画に賭けない。

マイクロソフトのビル・ゲイツさんが最初から上手く行ったからといって、起業家の多くは事業計画書に同じような利益を書き込まない。対照的に、巷に溢れる得体の知らない「カリスマトレーダー」のパフォーマンスに憧れ、「個人FX商店」を一気なり開業したオーナーらの多くは最初から世界トップトレーダーさえ達成てきないリターンを目指す。

現実のビジネスの場合、自分が知っている分野に絞り、よく調査し、開業するための修行、或いは下積みもしっかりやっておくのは一般的だ。寿司屋など業界では、10年以上の歳月をかかるケースもある。

対照的に、「個人FX商店」オーナーの多くは業界主催の無料セミナーを参加しただけ、或いは「誰でも月○○万儲かるFX」といった類の書籍を読んだだけで店をオープンしてしまう。自分がビジネスとしてやっている自覚はないからだ。

現実のビジネスでは、手持ち資金をすべてある商品の仕入れに使い、その商品のヒットに運気を賭ける商店はあまりいない。対照的に、クリックだけで参入してきた「個人FX商店」のオーナーらは目一杯の倍率をもって特定の取引に運試しに走りがちである。真面目ビジネスとして考えていないからだ。